5代目のデュマ社長が飛行機の中で、ジェーン・バーキンと
隣り合わせにならなかったら『バーキン』は生まれなかったでしょう。
「美しく生きる人」と絶賛されたフランスの映画女優で歌手のジェーンは当時、
身の回りの整理が苦手で大きな藤のバッグに荷物を詰め込んで持ち歩いていましたが、
手帳や他の物があふれて今にも落ちそう。
驚いたデュマ社長はジェーンのためにバッグをつくることを約束したのです。
「私がその中身が全部入るバッグを作りましょう。
手帳が収まるポケットも内側につけてね。」
こうして1984年、『バーキン』が誕生。
エルメス初のバッグ「オータクロア」をよりカジュアルに、荷物がたっぷり入るよう仕切りを無くしアレンジして製作されました。
100年以上経った今でも女性から絶大な支持を受けており、人気が衰える事をしらない、エルメスのNo.1バッグです。
母から愛する娘へ・・・
誰もが一度は手にしてみたいと思うバッグ。世代を超え受け継ぐ事ができるのも魅力の一つです。
間仕切りがなく開口部も広いので荷物もたっぷり収納でき、留め金を外してフラップを中にしまえばトートバッグのように出し入れも楽々。ハードに使っても形崩れしないのは、それだけ丈夫につくってあるからなんですね。
当初は40cmのみでしたが、現在は25cm、30cm、35cm、40cm、50cmの5サイズ展開となっています。
特に30cmは小柄な日本人向けに生まれたサイズで、欧米で見かけることはほとんどありません。
元来ケリーバッグは、馬具メーカーに端を発するエルメスがサドルバッグを婦人用に
改良して1935年に発売したもので、当初は「サック・ア・クロア」という商品名で売られていました。
このバッグを一躍有名にした女性がモナコのグレース王妃(1928〜1982)です。
22歳にデビュー後、一躍ハリウッド人気女優になったグレース・ケリー。
1955年カンヌ映画祭の折りにモナコ王宮を訪ね、
その時モナコ公国レーニエ大公に見初められ、1956年に結婚。
現代のシンデレラストーリーと世界中で大ニュースになりました。
その年のある日、彼女が妊娠中のお腹をエルメスのバッグで隠すようにした写真が
雑誌『LIFE』の表紙を飾り、4代目のデュマ社長はバッグの名称を変えることに。
モナコ王室の許可を得て、彼女の結婚前の姓である「ケリー」に改称したのです。
1982年にはツートンの「ケリー」が登場。
斬新なカラーの組合せが衝撃をもって迎えられました。
また、同じ頃25cm以上のサイズにショルダーストラップが付属され、2001年にはハンドルの根元にストラップ用リングが付くなど、
優雅なデザインだけでなく機能性もますます充実しています。
「ケリー」には、外縫いと内縫いの2タイプがあります。
マチの合わせを縫ってステッチを表に出し、端を蜜蝋で固めた外縫いは、直線的でかっちりとした印象。
縫い合わせを内側に折り返し、もう一度縫い込んだ内縫いは、角がなくてふっくらと優しい印象です。
外縫いはフォーマル向き、内縫いはデイリー向きと捉えている人もいます。
また、内縫いには「ケリー・ム−」という、中の芯がなく丸められるバッグもあります。 旅行の際に便利なアイテムですね。
エルメスのバッグの中でも、ちょっと変わった名前の由来なのが、エルメスボリード。
エルメスボリードバッグは自動車用の部品のファスナーをバッグの開口部に使ったのです。
今では当たり前に使われているバッグのファスナーですが、
「ブガッティ」は世界で初めてファスナーが付けられた革製バッグです。
20世紀初期を代表したボリード。
その当時、エルメスボリードは旅行バッグとして使われていました。
「ボリード」は当初はブガッディと呼ばれていましたが、その後1923年に「ボリード」に名前が変わり、
現在ではブガッディと呼ばれていたモデルを復刻した「ボリード1923」も人気です。
「ボリード」は1950年代以降に注文生産品となりましたが、1982年にはコレクションへ再登場。
カジュアルにもフォーマルにも似合う優美な曲線が特徴です。
正面に縫い付けられた楕円形のネームタグは、オーナーのイニシャルを焼きつけるためのパーツで、
旅行用バッグとして誕生した名残りとも言われています。
「ピコタン」とは昔穀物の量を量っていたボワソー升の1/4量を示す単位であり、
荷を運ぶ牛馬にあげるエサを入れる袋がもともとの由来。
そのため、手頃な大きさのトートバックとして、またコロンとした愛らしいフォルムで人気。
シンプルで機能的、裁ちっぱなしで裏地を付けずステッチさえもほとんど無い「ピコタン」は、
底にあるしっかりとしたビスにより安定していて、開放部が大きく、
サイズは小さくてもタップリ荷物が入り、
出し入れもスピーディーなので使い勝手もバツグンのバッグ。
毎日の普段使いに便利なので学生やOLにも人気。
現在は「カデナ」無しのピコタンは生産が終了しており、
ベルト先端部分に「カデナ」を通す「ピコタンロック」が主流となっております。
ガーデンパーティとはもともとガーデニングの用具を入れるために作られたバッグ。
そのため内側には仕切り等は何もないが、収納力がバツグンで、カジュアルに使えます。
現在は改良が加えられ、オールレザーの「ネゴンダ」には内側にファスナー付のポケットが
つけられているので小物がバッグの中で迷子になる心配はなさそう。
間口が広く、気軽に物を収納入れられ収納力も抜群なうえ大変軽いので、
学生やOLはもちろん、マザーズバッグとしても人気があります。